ニュース

2017年06月05日 中央大学フースバルクラブ

去年の雪辱を晴らし中央大学王者の座を奪還したフースバルクラブ。 彼らの強さの裏にあるものとは―――。

(取材・文章・写真:松本真美)
中央大学フースバルクラブ
中央大学学内戦において圧倒的強さを見せつけ、見事本大会出場を果たした中央大学フースバルクラブ(通称:フース)。
会長とマネ長に、内に秘める熱き想いを語ってもらった。
―まず、チーム紹介をお願いします。

プレイヤー、マネージャー合わせて130人程度が所属しています。
とにかく真面目にやっています。
同好会というカテゴリーではあるけど、その中で日本一を目指そうという自主性を持ったチームだと自負しています。

-練習について教えてください。

基本は週3で、大会前は週4で練習しています。
アップをしてから、試合ででた課題に取り組んでいます。期間や時期ごとにテーマを決めてそれにみあった練習メニューを組んでいます。
最後はゲームでしめます。

―どのようなことを「課題」として意識されているのでしょうか。

課題というのは、三役(会長1人・副会長2人)が、大会や試合がおわるたびに
「自分たちに何が足りなかったか」「今後どういうプレーが必要か」を話し合い、決定しています。
そして「次のこの試合までにはこの状態にもっていきたい」と、逆算してメニューを決定します。
仮にその課題が達成できなかったとしても、選手一人一人に意識付けができていることに意味があると思っています。
かといって甘んじることなく、達成できなかったのなら、メニューを変更し伝え方を変える。
様々なアプローチをして理想像に持ってく努力は常にしています。

―1回1回の練習を非常に大切にされているのですね。特に自分たちの代になってから新しく取り入れたことはありますか。

自分達の代になってからは特に、練習中にサッカーの会話を増やすことを意識していますね。
プレー中でも、気になるところがあったらいったん練習をとめて話し合うようにしています。
これはいつも言うことなんですけど、せっかくみんなが集まっているのだから、みんながいるときにできることをやろうって。
走り込みなどの自主練は一人の時でもできるけど、意見を共有することはみんながそろってないとできないことだから。

―そのような練習中での心がけがやはり選手のモチベーションアップにもつながっているのでしょうか。

そうですね。ほかにも、自分の意思でフースに入って、自分の意思でフースにきていることの意味を考えろ、とはよく言いますね。動機付けといいますか。
マネも含め、みんな本気で頑張っているから、その雰囲気に影響されて変わるやつもいます。
チーム全体の雰囲気が相互に刺激しあって、モチベーションを保てているのだと思います。

―今年の学内戦はどんな気持ちで臨みましたか。

去年は自分も出場して本当に悔しい思いをしたし、三年生がくるしんでいる姿をみて借りを返さなければいけないと思っていました。

―学内戦では、決勝でBチームが勝つという、なんとも言い難い状況でしたが、それについてどのように受け止めていますか。

フースの会長としての立場としては、フース同士で決勝戦ができて、かつフースが優勝したということはとてもうれしいです。
だけど、Aチームにでていた一人の選手としては悔しいです。

―チーム全体としてはどうのように受け止めていますか。

メンバーを選んだのは自分なので、こういう結果になってしまった責任は自分にもあると思っています。
これからカップ戦やリーグ戦など、1チームしか出場できない大会が多く控えている中で、メンバー選びへの不信感をつくってしまったかもしれない。
チームとしての「隙」ができたことは反省しています。

―(決勝を見て)フースバルは、選手層の厚さや組織がしっかりしているという印象を受けました。

メンバー決めは毎回すごく迷います。嬉しい悩みではあるんですけどね。
メンバーを選ぶ際、毎回テーマがあるんです。活躍を期待してわざとBチームにするやつもいれば、逆に活躍を期待してあえてAチームにする選手もいる。
どのチームにいようと、一人一人がそのチームにいることに意味があるので。メンバーを選ぶときはメンバー全員に自分からのメッセージをこめています。
だからこそ、全員を常によく見ることを意識しています。

―本大会までまだまだ時間がありますが、この期間をどのように過ごしたいですか

まずはカップ戦といった目先のことを一個一個にむかって、テーマをきめてやってくしかないとは思う。一回一回の練習をしっかりやらないと勝てないので。

―注目選手を教えてください。

こういう場もうまく使って(選手に対して)メッセージを込めて選びたいですね(笑) 草野寿希亜選手。二年生。サイドハーフ。
粗削りで生意気なところもあるが、これから伸びてってほしい。目立ちたがり屋なのでシュートをよく打ちます。やりきる選手です。

−本大会での予想フォーメーション

マネ長さんも交えてお話を伺いました。
―マネージャーにとってプレイヤーとはどのような存在ですか。

考えたことあまりなかったです。なんだろう…。
プレが普段練習を頑張っているからマネージャーも頑張ろうっていうのはなんか違うかな。
プレのために頑張るのもあるんですけど、それがすべてじゃないんです。
最近いろいろ練習や合宿が終わるたびに考えてて、個人的な考えとしては、プレの「マネのために勝たなきゃ、マネがいるから勝たなきゃ」
という考えは嫌なんです。
勝ったときや試合をするときに、頭の片隅にマネのことを少し考えてくれればいいなあ、くらいの存在でありたい。

-プレありきのマネですよね。

そうですね。フースのプレって、練習とかもそうだし、みんながしっかり目標を持って、同じ方向性にむかって頑張っているから…
マネージャーにとっての「自慢」かな。
関係ない第三者にもフースのプレは自慢できる。

―では、プレイヤーにとってのマネージャーとは?

モチベーションの1つです。マネはマネでやりがいを感じてやってくれていて、それをみて、頑張ろうと思うプレも出てくる。
そういう気持ちも自分の中で、頑張ろうって思える一つの材料になる。
そしてなにより、俺らにとってのマネージャーは、支えてもらっているとかじゃなくて、一緒に戦っている存在です。
俺らがマネに感謝するのは簡単で、でも、マネにありがとうと感謝されるプレでありたい。そういう意味でモチベーションの一つなんです。
「一緒に日本一になれてうれしかったよ、ありがとう」と言われることがモチベーションになっているかな。

―フースはマネージャーさんもしっかりと統制がとれているイメージがあります。何か気を付けていることはありますか。

二年生のマネは七人いるんですけど、全員に係が割り振られています。マネキャプ、マネキャプを補佐する副マネキャプ、道具係、会計、ビデオ管理があります。
一応こういう風に係は割り振られているしマネキャプも存在するけれど、マネキャプだけが仕事をできるのではなくて、二マネ全員ができて、
そして一年生のマネージャーに何か質問された時などに、私だけが答えられるのではなく全員が答えられるように意識をしています。

―マネージャーをしていて一番うれしかったことはなんですか。

引退してみないとわからないかなあ。一番はまだ決められないし、わからないです。全部やりとげないと。
でも、どのマネも、勝ってプレみんなが笑って喜んでいる姿を見られたら嬉しいし、モチベにつながります。

―最後に、あなたたちにとってフースとはなんですか。

大人になるにつれて、馬鹿みたいに何かに本気になるって少なくなってくると思う。
そんな中でも、フースは、自分を成長させてくれて、そして、熱くなれる場所です。

「マネだから」、「プレだから」、そんな境目は存在しない。
各々すべきことは異なろうと、同じ目標を見据え、そしてその想いが最終的に交わったところに勝利がある。
個々で挑み、皆で戦う。誰かのために戦うわけではないという美徳が、彼らには存在するのだろう。
一人一人が内に熱い想いを秘める最強集団、フースバルクラブの躍進に注目せずにはいられない。
−会長、副会長プロフィール

中央 会長:若杉俊介(わかばやししゅんすけ) 新潟明訓高校出身
左 副会長:大石元気(おおいしげんき) 藤枝東高校出身
右 副会長:三井優太郎(みついゆうたろう) 八千代高校出身