2014/5/5/(月・祝)~7/13(日) 東京大学学内戦2014 IN御殿下グラウンド・農学部グラウンド
決勝トーナメント
入れ替え戦
予選1部 Aブロック
チーム名 | スペA | サンデーA | サカパA | ブルスポB | スパーズA | 勝 | 負 | 分 | 勝点 | 得失点 | 順位 |
スペA | ● 1-2 |
● 0-1 |
○ 2-0 |
● 1-2 |
1 | 3 | 0 | 3 | -1 | 4 | |
サンデーA | ○ 2-1 |
△ 0-0 |
○ 3-1 |
△ 0-0 |
2 | 0 | 2 | 8 | 3 | 2 | |
サカパA | ○ 1-0 |
△ 0-0 |
○ 3-1 |
○ 2-1 |
3 | 0 | 1 | 10 | 4 | 1 | |
ブルスポB | ● 0-2 |
● 1-3 |
● 1-3 |
○ 2-1 |
1 | 3 | 0 | 3 | -5 | 5 | |
スパーズA | ○ 2-1 |
△ 0-0 |
● 1-2 |
● 1-2 |
1 | 2 | 1 | 4 | -1 | 3 |
予選1部 Bブロック
チーム名 | サカパB | ブルスポA | スペB | スパーズB | サンデーB | 勝 | 負 | 分 | 勝点 | 得失点 | 順位 |
サカパB | ○ 2-0 |
△ 1-1 |
● 0-1 |
○ 3-0 |
2 | 1 | 1 | 7 | 4 | 2 | |
ブルスポA | ● 0-2 |
● 1-2 |
△ 0-0 |
○ 2-0 |
1 | 2 | 1 | 4 | -1 | 4 | |
スペB | △ 1-1 |
○ 2-1 |
● 0-2 |
○ 4-0 |
2 | 1 | 1 | 7 | 3 | 3 | |
スパーズB | ○ 1-0 |
△ 0-0 |
○ 2-0 |
○ 5-1 |
2 | 0 | 2 | 8 | 7 | 1 | |
サンデーB | ● 0-3 |
● 0-2 |
● 0-4 |
● 1-5 |
0 | 4 | 0 | 0 | -13 | 5 |
予選2部 Aブロック
チーム名 | ツーパA | ブルスポC | カンパ | サカパC | 勝 | 負 | 分 | 勝点 | 得失点 | 順位 |
ツーパA | ○ 2-0 |
○ 4-0 |
● 0-1 |
2 | 1 | 0 | 6 | 5 | 1 | |
ブルスポC | ● 0-2 |
△ 1-1 |
○ 5-1 |
1 | 1 | 1 | 4 | 2 | 3 | |
カンパ | ● 0-4 |
△ 1-1 |
● 1-6 |
0 | 2 | 1 | 1 | -9 | 4 | |
サカパC | ○ 1-0 |
● 1-5 |
○ 6-1 |
2 | 1 | 0 | 6 | 2 | 2 |
予選2部 Bブロック
チーム名 | スペC | ツーパB | エスト | サンデーC | スパーズC | 勝 | 負 | 分 | 勝点 | 得失点 | 順位 |
スペC | ○ 1-0 |
△ 2-2 |
△ 0-0 |
○ 3-0 |
2 | 0 | 2 | 8 | 4 | 1 | |
ツーパB | ● 0-1 |
● 0-3 |
● 0-2 |
△ 0-0 |
0 | 3 | 1 | 1 | -6 | 5 | |
エスト | △ 2-2 |
○ 3-0 |
● 0-1 |
△ 0-0 |
1 | 1 | 2 | 5 | 2 | 3 | |
サンデーC | △ 0-0 |
○ 2-0 |
○ 1-0 |
● 0-2 |
2 | 1 | 1 | 7 | 1 | 2 | |
スパーズC | ● 0-3 |
△ 0-0 |
△ 0-0 |
○ 2-0 |
1 | 1 | 2 | 5 | -1 | 4 |
総評
1部リーグ・2部リーグを設け2ヶ月間に渡り開催された東京大学学内戦。
学内でありながら人工芝2面を擁する恵まれた環境の中、全19チームが東大No.1サッカーサークルの座を賭け凌ぎを削った。
【決勝戦寸評】
自分達の先輩・サカパB相手に下克上を果たしたサカパA。個人能力で勝るスパーズB相手にジャイアントキリングを起こしたサンデーA。
勢いに乗った両チームの激突は、決勝にふさわしい好ゲームとなった。
両チームとも立ち上がりは堅実なプレーを選択し、非常に決勝戦らしい緊張感のある展開を見せた。
サカパは豊富な運動量を活かしたプレス、サンデーはよく組織された囲い込みで、中盤の奪い合いが繰り広げられる。
タイトな展開の中、開始3分にはサンデー・江森からのパスを受けた右SH福島が豪快なロングシュートを放つ。このファーストシュートで勢いに乗ったサンデーはここから積極的に仕掛けていく。
5分には長い距離のサンデーFKから福島がヘディングで流し岩屋が反応、最後は江森が詰めるも惜しくもゴールには至らない。
14分には福島のFKから中央で長身DF増村が頭で合わせるも枠には飛ばず。
一方のサカパは17分にようやくファーストシュート。前田が片井とのワンツーで抜け出しシュートを放つもGKに阻まれる。
両チームにシュートが生まれたこのあたりになって、ようやく展開がオープンになり始める。中盤の潰し合いのこぼれ球をうまく拾い、前線のエースに繋げることでチャンスを作り出していく。
このような戦術は往々にして退屈な展開を生みやすいのだが、前田・岩屋の両エースの迫力が観客の目を釘付けにする。
そんな中、均衡を破ったのはやはりエースだった。
前半18分、敵陣少し入ったところで縦パスを受けた岩屋がファーストタッチで反転、そして加速。おいすがるサカパDFを振り切り、GKとの一対一も冷静に制した。
チームを牽引してきたキャプテンが、ここでも圧倒的なスピードで貴重な先制点をもたらした。
先制を許した後も、サカパは精神的に崩れることもなくタイトなプレーを続ける。
しかし次のゴールを奪ったのもサンデーだった。先制点で固さがとれ、MF徳島・川上を中心にピッチを広く使った攻めが奏効した。
前半26分、ダイナミックなオーバーラップからスルーパスを受けた右SB安井がグラウンダーで絶妙なクロスを送る。サカパDFはこれを処理しきれず、オウンゴールとなってしまう。
前半も中程で2-0。サンデーも集中力を切らさずむしろ勢いに乗り始め、サカパにとっては苦しい展開になる。
しかしそこは今大会唯一の学年編成チームであるサカパ。結束力と若さがもたらす勢いがある。
エース前田の正確かつ意表を突くポストプレーを起点に、米永や片井が絡む速い攻撃でペースを取り戻しにかかる。チーム全体も積極的なプレスで相手のミスやファールを誘発し、チャンスを作っていく。
28分にはゴール正面のFKを前田が狙うも枠の外。
30分には逆にサンデーのカウンターから岩屋が抜け出す決定的なシーンを作られるも、DF濱道が必死に戻り、イエロー覚悟のファールで事なきを得る。
そして迎えた前半31分。ここでも迫力ある波状攻撃を仕掛け相手DFのハンドを誘発、PKを獲得する。
キッカー前田のシュートはサンデーGK峰松がファインセーブも、こぼれ球の流れから最後は米永が頭で押し込んだ。
このゴールで2-1。サンデーが一点リードで前半を折り返す。
堅い立ち上がりだったが、両チームペースダウンの後にスペースが出来始め、お互いの役者が仕事をした形になった。
サカパからすれば、追撃を開始することができ、悪くない前半の締め方だと言えるだろう。
両チームとも次の一点が大事となる後半立ち上がり、貴重な追加点を奪ったのはまたしてもサンデーのエース・岩屋だった。
積極的に裏を狙うサンデーに対してしっかりと跳ね返すサカパだったが、クリアボールを拾ったサンデーのボランチ・三浦から絶妙なスルーパスが岩屋へ渡る。戻るサカパDFをしっかり身体でブロックし、GKとの一対一を再び冷静に流し込んだ。
スピードだけでなく、身体の使い方、GKの位置を見極めた正確なシュート。今大会の得点王たる実力を見せつけた。
後半開始早々の追加点で、サンデーがこの試合をものにしたかのように見えた。
実際サンデーは後半10分に体力面で不安のある岩屋に替え二関を投入、試合をまとめにかかる。
サカパの攻撃も、沢のオーバーラップからのクロスがファーに流れるシーンや、アーリークロスから米永のヘディングが枠に外れるシーンがあったものの、どれも単発に終わる。
しかしこのままずるずるとサンデーペースで試合が進むのかと思われた後半14分、サカパのあきらめない姿勢が再び試合を動かす。
右サイドからのクロスのこぼれ球にいち早く反応したのはサカパ・沢。豪快に振りぬきネットに突き刺した。
この時間帯、サカパは特にいい形の攻撃ができていたわけでもなかったが、再三右サイドをえぐり孤軍奮闘していた沢の気持ちのこもったシュートで、試合は再び一点差に。
岩屋の追加点で終わったと思われたこの試合も、ここから激しさを取り戻す。
16分にはサカパ、再び沢のクロスから垣内が頭で合わせるも枠の外。
必死に守りを固めるサンデーも23分、カウンターから二関が抜け出すも、サカパDFが必死の粘りで追加点を許さない。
チームが前がかりになる中、サンデーの鋭いカウンターを許さずセカンドボールを拾い続けるサカパDFの堅実なプレーは、前線の選手の活躍に劣らず非常に印象的であった。
一点差のまま試合は終盤に突入する。両チーム体力的にきつくなってきたこの時間帯、後方からの単調なロングボールが増えるものの、サカパはやはり前田が違いを作っていく。
28分にはまたしても高い位置で奪って前田が持ち込み、最後は片井がシュートを放つもゴールならず。
33分には前田がペナルティエリア内でボールを受けるも、ここはサンデーDF増村が厳しいチェックでボールを奪う。
時間のないサカパは果敢に攻め込むも、サンデーの全員守備の前になす術がない。
このままサンデーの優勝かと思われた34分。
サカパのエース・前田が左サイドでドリブル。ただでさえ止まらない前田相手に、足の止まってきたサンデーDF陣は深くまで突破を許す。
前田が丁寧に送ったグラウンダーのクロスに走りこんだのはMF田中翔。決して簡単ではない体勢から、起死回生の一撃をゴール左上に叩き込んだ。
土壇場の一発でサカパが追いつき、サカパベンチが盛り上がる中、後半終了のホイッスル。
後半開始早々の岩谷の追加点でサンデーの勝利が決まったと思われたが、サカパが持ち前の精神力を発揮しじわじわと追い上げた。お互い体力的にも限界が近いが、優勝への強い気持ちが身体を動かしている。
試合は3-3で延長戦へ突入する。
延長戦に入ると、お互い疲労があり、プレーは大味にならざるを得ない。
それでもサンデーは串畑のFKから益本が頭でそらし、交代で入っていた中島がつめるも、サカパGK斉藤のセーブに合う。
サカパも右サイドからのアーリークロスに門、トラップでDFをかわすもサンデーGK峰松が止める。
両チームとも細かいミスはあり全体も間延びしているので、個人技でシュートまで持っていくシーンもあるのだが、最後の最後でGKのセーブやDFの粘りが決勝点を許さない。
10分の延長戦ではスコアは動かず、3-3のままPKを告げるホイッスル。
両チームとも足をつる選手が見受けられるほどの疲労具合。それでも対人の部分で手を抜く選手は一切おらず、この両チームが決勝に駒を進めた理由の一端を見ることの出来る延長戦であった。
そして試合の決着はPKに委ねられることになる。
PK戦はお互い四人目まで全員が成功。先攻・サンデーの五人目のキックをサカパGK斉藤がファインセーブ。決めれば優勝、重圧のかかるサカパの五人目はエース前田。
準決勝から数えて3本連続PK失敗中の前田だったが、ど真ん中に蹴りこむ強心臓ぶりを見せつけ、見事サカパが三年ぶりとなる優勝を決めた。
両チームともすべてのキッカーが素晴らしいキックを見せてくれたが、これは両チームの準備の周到さを物語っていると言える。この素晴らしい試合の最後に、全選手の決勝にかけた意気込みをひしひしと感じられた。
とはいえやはりPK戦は運によるところが大きい。PK戦では当たらなかったサンデーGK峰松も、試合中にはサカパ最終キッカー前田のPKをストップしていたことを思い出さずにはいられない。
勝敗をつけなくてはいけないことが理不尽に思えるほど、サカパ・サンデーの両チームは高いレベルで拮抗していた。
サンデーは中盤の守備が非常によく連携が取れており、素早いカウンターも含め、チーム全体の意識共有が感じられた。
サカパは個々が対人に非常に強く、試合終盤にも走れる選手が多かった。もちろん戦術面でも洗練されていたが、それ以上に、二度の二点差を追いつくメンタルの強さには感服した。
両チームとも前線に絶対的なエースを擁していたが、もちろんそれだけではない。お互いエースの活かし方にも工夫が感じられたし、チーム全体の技術が高くイージーミスが試合を通じて非常に少なかった印象を受ける。
「個」の力と組織力のハイブリッドという、W杯のトレンドとも重なる戦術をもった二チームの激突は、東大リーグ決勝戦の名に恥じぬ死闘であった。
学内でありながら人工芝2面を擁する恵まれた環境の中、全19チームが東大No.1サッカーサークルの座を賭け凌ぎを削った。
【決勝戦寸評】
自分達の先輩・サカパB相手に下克上を果たしたサカパA。個人能力で勝るスパーズB相手にジャイアントキリングを起こしたサンデーA。
勢いに乗った両チームの激突は、決勝にふさわしい好ゲームとなった。
両チームとも立ち上がりは堅実なプレーを選択し、非常に決勝戦らしい緊張感のある展開を見せた。
サカパは豊富な運動量を活かしたプレス、サンデーはよく組織された囲い込みで、中盤の奪い合いが繰り広げられる。
タイトな展開の中、開始3分にはサンデー・江森からのパスを受けた右SH福島が豪快なロングシュートを放つ。このファーストシュートで勢いに乗ったサンデーはここから積極的に仕掛けていく。
5分には長い距離のサンデーFKから福島がヘディングで流し岩屋が反応、最後は江森が詰めるも惜しくもゴールには至らない。
14分には福島のFKから中央で長身DF増村が頭で合わせるも枠には飛ばず。
一方のサカパは17分にようやくファーストシュート。前田が片井とのワンツーで抜け出しシュートを放つもGKに阻まれる。
両チームにシュートが生まれたこのあたりになって、ようやく展開がオープンになり始める。中盤の潰し合いのこぼれ球をうまく拾い、前線のエースに繋げることでチャンスを作り出していく。
このような戦術は往々にして退屈な展開を生みやすいのだが、前田・岩屋の両エースの迫力が観客の目を釘付けにする。
そんな中、均衡を破ったのはやはりエースだった。
前半18分、敵陣少し入ったところで縦パスを受けた岩屋がファーストタッチで反転、そして加速。おいすがるサカパDFを振り切り、GKとの一対一も冷静に制した。
チームを牽引してきたキャプテンが、ここでも圧倒的なスピードで貴重な先制点をもたらした。
先制を許した後も、サカパは精神的に崩れることもなくタイトなプレーを続ける。
しかし次のゴールを奪ったのもサンデーだった。先制点で固さがとれ、MF徳島・川上を中心にピッチを広く使った攻めが奏効した。
前半26分、ダイナミックなオーバーラップからスルーパスを受けた右SB安井がグラウンダーで絶妙なクロスを送る。サカパDFはこれを処理しきれず、オウンゴールとなってしまう。
前半も中程で2-0。サンデーも集中力を切らさずむしろ勢いに乗り始め、サカパにとっては苦しい展開になる。
しかしそこは今大会唯一の学年編成チームであるサカパ。結束力と若さがもたらす勢いがある。
エース前田の正確かつ意表を突くポストプレーを起点に、米永や片井が絡む速い攻撃でペースを取り戻しにかかる。チーム全体も積極的なプレスで相手のミスやファールを誘発し、チャンスを作っていく。
28分にはゴール正面のFKを前田が狙うも枠の外。
30分には逆にサンデーのカウンターから岩屋が抜け出す決定的なシーンを作られるも、DF濱道が必死に戻り、イエロー覚悟のファールで事なきを得る。
そして迎えた前半31分。ここでも迫力ある波状攻撃を仕掛け相手DFのハンドを誘発、PKを獲得する。
キッカー前田のシュートはサンデーGK峰松がファインセーブも、こぼれ球の流れから最後は米永が頭で押し込んだ。
このゴールで2-1。サンデーが一点リードで前半を折り返す。
堅い立ち上がりだったが、両チームペースダウンの後にスペースが出来始め、お互いの役者が仕事をした形になった。
サカパからすれば、追撃を開始することができ、悪くない前半の締め方だと言えるだろう。
両チームとも次の一点が大事となる後半立ち上がり、貴重な追加点を奪ったのはまたしてもサンデーのエース・岩屋だった。
積極的に裏を狙うサンデーに対してしっかりと跳ね返すサカパだったが、クリアボールを拾ったサンデーのボランチ・三浦から絶妙なスルーパスが岩屋へ渡る。戻るサカパDFをしっかり身体でブロックし、GKとの一対一を再び冷静に流し込んだ。
スピードだけでなく、身体の使い方、GKの位置を見極めた正確なシュート。今大会の得点王たる実力を見せつけた。
後半開始早々の追加点で、サンデーがこの試合をものにしたかのように見えた。
実際サンデーは後半10分に体力面で不安のある岩屋に替え二関を投入、試合をまとめにかかる。
サカパの攻撃も、沢のオーバーラップからのクロスがファーに流れるシーンや、アーリークロスから米永のヘディングが枠に外れるシーンがあったものの、どれも単発に終わる。
しかしこのままずるずるとサンデーペースで試合が進むのかと思われた後半14分、サカパのあきらめない姿勢が再び試合を動かす。
右サイドからのクロスのこぼれ球にいち早く反応したのはサカパ・沢。豪快に振りぬきネットに突き刺した。
この時間帯、サカパは特にいい形の攻撃ができていたわけでもなかったが、再三右サイドをえぐり孤軍奮闘していた沢の気持ちのこもったシュートで、試合は再び一点差に。
岩屋の追加点で終わったと思われたこの試合も、ここから激しさを取り戻す。
16分にはサカパ、再び沢のクロスから垣内が頭で合わせるも枠の外。
必死に守りを固めるサンデーも23分、カウンターから二関が抜け出すも、サカパDFが必死の粘りで追加点を許さない。
チームが前がかりになる中、サンデーの鋭いカウンターを許さずセカンドボールを拾い続けるサカパDFの堅実なプレーは、前線の選手の活躍に劣らず非常に印象的であった。
一点差のまま試合は終盤に突入する。両チーム体力的にきつくなってきたこの時間帯、後方からの単調なロングボールが増えるものの、サカパはやはり前田が違いを作っていく。
28分にはまたしても高い位置で奪って前田が持ち込み、最後は片井がシュートを放つもゴールならず。
33分には前田がペナルティエリア内でボールを受けるも、ここはサンデーDF増村が厳しいチェックでボールを奪う。
時間のないサカパは果敢に攻め込むも、サンデーの全員守備の前になす術がない。
このままサンデーの優勝かと思われた34分。
サカパのエース・前田が左サイドでドリブル。ただでさえ止まらない前田相手に、足の止まってきたサンデーDF陣は深くまで突破を許す。
前田が丁寧に送ったグラウンダーのクロスに走りこんだのはMF田中翔。決して簡単ではない体勢から、起死回生の一撃をゴール左上に叩き込んだ。
土壇場の一発でサカパが追いつき、サカパベンチが盛り上がる中、後半終了のホイッスル。
後半開始早々の岩谷の追加点でサンデーの勝利が決まったと思われたが、サカパが持ち前の精神力を発揮しじわじわと追い上げた。お互い体力的にも限界が近いが、優勝への強い気持ちが身体を動かしている。
試合は3-3で延長戦へ突入する。
延長戦に入ると、お互い疲労があり、プレーは大味にならざるを得ない。
それでもサンデーは串畑のFKから益本が頭でそらし、交代で入っていた中島がつめるも、サカパGK斉藤のセーブに合う。
サカパも右サイドからのアーリークロスに門、トラップでDFをかわすもサンデーGK峰松が止める。
両チームとも細かいミスはあり全体も間延びしているので、個人技でシュートまで持っていくシーンもあるのだが、最後の最後でGKのセーブやDFの粘りが決勝点を許さない。
10分の延長戦ではスコアは動かず、3-3のままPKを告げるホイッスル。
両チームとも足をつる選手が見受けられるほどの疲労具合。それでも対人の部分で手を抜く選手は一切おらず、この両チームが決勝に駒を進めた理由の一端を見ることの出来る延長戦であった。
そして試合の決着はPKに委ねられることになる。
PK戦はお互い四人目まで全員が成功。先攻・サンデーの五人目のキックをサカパGK斉藤がファインセーブ。決めれば優勝、重圧のかかるサカパの五人目はエース前田。
準決勝から数えて3本連続PK失敗中の前田だったが、ど真ん中に蹴りこむ強心臓ぶりを見せつけ、見事サカパが三年ぶりとなる優勝を決めた。
両チームともすべてのキッカーが素晴らしいキックを見せてくれたが、これは両チームの準備の周到さを物語っていると言える。この素晴らしい試合の最後に、全選手の決勝にかけた意気込みをひしひしと感じられた。
とはいえやはりPK戦は運によるところが大きい。PK戦では当たらなかったサンデーGK峰松も、試合中にはサカパ最終キッカー前田のPKをストップしていたことを思い出さずにはいられない。
勝敗をつけなくてはいけないことが理不尽に思えるほど、サカパ・サンデーの両チームは高いレベルで拮抗していた。
サンデーは中盤の守備が非常によく連携が取れており、素早いカウンターも含め、チーム全体の意識共有が感じられた。
サカパは個々が対人に非常に強く、試合終盤にも走れる選手が多かった。もちろん戦術面でも洗練されていたが、それ以上に、二度の二点差を追いつくメンタルの強さには感服した。
両チームとも前線に絶対的なエースを擁していたが、もちろんそれだけではない。お互いエースの活かし方にも工夫が感じられたし、チーム全体の技術が高くイージーミスが試合を通じて非常に少なかった印象を受ける。
「個」の力と組織力のハイブリッドという、W杯のトレンドとも重なる戦術をもった二チームの激突は、東大リーグ決勝戦の名に恥じぬ死闘であった。
優勝
MVP